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料理人
この人の料理を口にしたとき 体が宙に浮くかと思った。 美味しいという次元を超えている。 達人、笑って曰く 「旬のものを食べたから、 血が躍ったんですよ。 生き物の本能です」 日本料理の頂点にのぼりつめて 次は海外で勝…つづきを読む
2013-01-09 -
映画評論家
明るい色の口紅を引いた口が 笑うと気持ちいいほど大きくなる。 真顔に戻っても、口の端に笑顔の余韻。 この人と友だちになって メキシコ料理かなんかを食べに行ったら 楽しいだろうなーという感じ。 そのとき彼女はピンクのサンダ…つづきを読む
2013-01-08 -
船長
外国航路の船長とお茶を飲む。 バミューダトライアングルの犯人は巨大な海藻だ。 紅海を通過するときは国旗を揚げないと撃たれる。 コロンブスのみやげ話に耳を傾ける女王陛下みたいな気分で ふむふむと聞いていたら、こんな話まで。…つづきを読む
2013-01-07 -
きゅうす
2013-01-05 -
オリンピック選手
「スポーツをやっていていいのは、二度死ねること」 と青年は言った。 競技人生が終わるときが一度目の死。 そのあと始まる二度目の人生は、 「一度、死を経験した者として生きられると思う」 ロンドン五輪では燃え尽きず 次のオリ…つづきを読む
2013-01-04 -
落語家
真打ちになった意気込みを聞いても 「まぁ、ぼちぼちやります」 なんて、気のない返事。 「ぐうたらで、いい加減なもんで」 なんだか落語の登場人物みたい。 「新しい噺は、ある程度おぼえたら高座にかけちゃう。 もう、出たとこ勝…つづきを読む
2013-01-03 -
法廷画家
「なんだか最近ね」 とのんびり言う。 「顔を見たら、有罪か無罪かわかるように なっちゃいましてね」 え! 法廷画家。 画用紙を携えて裁判所に出かけ、被告人の様子を描く。 テレビ局の報道部と契約していて、 世間を騒がせた悪…つづきを読む
2013-01-02 -
みかん
2013-01-01 -
塗装工
北関東の空は褪せた色をして、 その人の手も白くかさついていた。 「一人前になるのに、こんなに時間かかるやつはいねえ」 と言われ続けて、実際、下積み期間は工場でいちばん長かった。 親方にしょっちゅう叱られて、気持ちはどんど…つづきを読む
2013-01-01 -
テープレコーダー
2012-12-31 -
S翁にみる文学の迫力
S翁。推定年齢75歳。白髪の、痩せた老人である。補聴器をつけ、杖をついている。いくつかの臓器を手術したとも聞く。 長らく人文書の編集をしていた。数年がかりで辞書や全集の編纂をしたこともあるようだ。その名残だろうか、気にな…つづきを読む
2012-10-01 -
「根拠のない自信が大事である」
「大事よねー、根拠のない自信」「あー、最近あたし足りてないかも」「根拠のない自信があれば、夢は叶うの」って、アラフォー女子たちが断言していた。でもきっと真理だな。ビタミン不足も、根拠のない自信不足も、いかん。
2012-07-01 -
「いちばん困る質問は『おとといの昼、なに食べた?』である」
酒場にて、物忘れの話。人の名前が出てこなくて困りますよねー。メモして、メモしたことを忘れる現象、あるある!…なんて会話の先に出てきた一言。ドキッとするなぁ。ホントこれ、難問だなぁ。
2012-03-24 -
先生は、あの世で煙草をふかしている
先生が、死んだ。 いつか死ぬと思ってたんだ。だって「先生」だもん。先に生まれたんだから、先に死ぬのが道理だ。 わたしはとても早手回しな人間で、8年くらい前に「涙そうそう」という曲を聞いたとき、いつか先生の死後この曲を聞い…つづきを読む
2012-02-06 -
「すべての男は中学生である」
女ともだちと飲んでいるとき、自分の口からポロリとこぼれ落ちた言葉。「それは名言だ!」と褒められたので、僭越ながらここに記す。20代から90代までの男友だちを順々に思い浮かべて…深くうなずく。間違いない。すべての男は中学生…つづきを読む
2012-01-30 -
和歌山ゲラゲラ紀行《後編》
(前回よりつづく) おっちゃん、30年前は和歌山県下ナンバーワン高校の生徒会長だったという。 やたらと顔が広い。声もでかい。 県庁でもホテルでも病院でも、ドカドカ入っていく。 と、必ず知り合いがいる。 「取材の子ぉ、来と…つづきを読む
2012-01-12 -
和歌山ゲラゲラ紀行《前編》
年末、和歌山からみかんが届いた。 2年前に取材でお世話になったおっちゃんからである。 お礼の電話をすると、おそらく着信画面でわたしとわかったのだろう。 電話に出るなり「ヨボセヨー!!」だって。 (ヨボセヨは韓国語の「もし…つづきを読む
2012-01-06 -
「大丈夫だ、死ぬ日までは生きてるんだから」
アラウンド80がうじゃうじゃ、大病経験者もごろごろ…そんな行きつけの酒亭にて収集。当たり前のことだけど、この店の諸先輩方に言われると、深いなぁ。
2011-12-11 -
西太后に肝を冷やした話《終幕》
(前回よりつづく) 以後3日ほど、ほかの仕事を完全に打ち捨てて 西太后についてのみ必死になって調べまわった。 中国語の先生や横浜在住の中国通に問い合わせても、 「噂では聞いたことあるけど、出典はわからん」との返事。 だん…つづきを読む
2011-11-08 -
西太后に肝を冷やした話《暗雲編》
(前回よりつづく) 幾度かの打ち合わせを経て、清朝末期の政治を追いつつ 現代中国にも残る風習を紹介する方向で固まる。 なかでも西太后の美容術がおもしろいということになり、 母乳を取り寄せて飲んでいただの、 玉(ぎょく)で…つづきを読む
2011-11-01 -
西太后に肝を冷やした話《序章》
中国近代史の番組。 …ということしか決まってないんだけど、とリサーチの依頼くる。 「打ち合わせまでに、適当におもしろネタを挙げといて。 イメージは『蒼穹の昴』っぽい感じで、よろしく!」 いやいやいや、適当にと言われまして…つづきを読む
2011-10-31 -
「剣道6段以上の人は、蠅を箸でつかめる」
飲み会で収集。この「言いっぱなし感」がたまりません。誰が見たのか。5段だと無理なのか。そもそも宮本武蔵は何段なんだ。後日「インドの蠅はのんびり飛ぶので素人でもつかめる」という追加情報もあり。誰が見たのか。タイの蠅はどうな…つづきを読む
2011-10-18 -
「落語は脳内CGである」
これ、路上で拾ったんじゃないのだけど…寝転がってテレビを見ていたら、関根勤がこう言ったのです。すごくリアル、なのに絶対に実写化できない。という落語の特性を言い当ててるなぁ。
2011-10-05 -
「土地は、先祖から受け継いだものではなく、子孫からの借りものである」
つい先日仕入れた、カナダの先住民族ハイダの言葉。本コーナーには似つかわしくない本格派の名言ですが…すばらしいなぁ。マイ・フェイバリット福島を思わずにいられない。
2011-10-05 -
上手に失恋した話
その夜、布団に入っても寝付けず。 あんなに蜜月だったのに。どこまで時間を巻き戻せば、修復できるの?もう、追いすがってもダメなのね?よよよ(涙)。 とあるお祭りのリサーチだった。 全国的に有名な、100万単位の人が…つづきを読む
2011-09-25 -
「食用蛙と加齢臭は、本人が聞いたらショックだ」
酒場にて収集。もし自分が蛙だったとして、人が自分のこと指差して「食用蛙だ」って言ってるのを聞いちゃったら、たしかにショックである。加齢臭も本人は気付かないと聞く…。
2011-09-15 -
健三じいちゃんのアルバイト
健三じいちゃんとは、たまに飲む(昼間から)。 会えばいつも、ニコニコと悠々としている。 そのくせ、妙に多忙なのである。 「わし、週2回、デイサービスに行っとんねん」 そこまでは、わかる。 90歳だもの、デイサービスにも行…つづきを読む
2011-09-07 -
緊縛師のまなざしに愛が宿る《後編》
(前回よりつづく) これまでにいろんなお葬式に行ったけれど、 緊縛師の巨匠のお別れ会ほど強烈なものはなかった。 平日の昼下がり、都内某ホールの大広間。 受付でお香典を出し、記帳する。 たとえばそこで、一輪の花を手渡され…つづきを読む
2011-08-31 -
「モモヒキを履かない奴に、いい仕事はできん」
雪国に暮らす職人さんの言葉。寒い時、かっこつけて薄着しているような奴は仕事をナメている。取材の日に、歩き回るのが億劫になるオシャレ靴を履いているリサーチャーも仕事をナメている(反省)。
2011-08-27 -
「夢に関することは、いつも先払い」
赤ワインをかっくらいながら親友が放った名言。そうだそうだ!時間もお金も労力も、先払いできる勇気がある者だけに、あとから結果がついてくるんだ。
2011-08-27