踊り子の恋は昭和の香り
昭和30年代を舞台にしたドラマのリサーチ。
登場人物に「ストリップ小屋で働く女性」がいるのだけど、
監督はそのシーンをなるべくリアルに再現したいのだという。
踊り子は控え室で何を着てた? 何を食べてた? どんな音が聞こえてた?
なんてことが知りたいのである。
図書館で調べても、永井荷風先生が踊り子をはべらせている写真が見つかるばかり。
ここはやっぱり突撃取材でしょう!と浅草フランス座に直電話。
「会長だったら、昔のこと知っているかも」
と教えられ、会長さんに会いに行く。
「あれは渥美清が体を壊していた頃だから昭和30年より前か…」
「東八郎っていう男はモテてねぇ…」
なんて、話の端々に昭和の浅草風味満載。テンションあがるなぁ。
芸人さんと踊り子さんの職場恋愛は多かったみたい。
もともと家が貧しくて踊り子さんになった娘が多いのだけど、
その日その日に限って言えば、芸人さんよりよっぽど稼ぎはいいわけで。
だから男に貢ぐ。そして捨てられる。お約束のパターンだ。
自分もその世界にいたら、ぜったい男に貢いでいたと思う。
古今東西、そういう恋にハマる女の型って決まっていて、
たぶんわたしもその一味…な気がする。
思いきって「元・踊り子さんを紹介してもらえないでしょうか?」と頼むと、
会長は「踊り子をやってたことを隠して結婚していく子も多いからねぇ」
と言いながら、いまでも交流のある浅草在住の方に連絡をとってくれた。
「じゃ、そこのファミレスで会いましょう」なんて気軽に出てきてくれたのが
年の頃70くらいの元・踊り子さん。
「中学を出てからアクロバット教室で修行を積んで、踊り子になった」由。
アクロバット教室っていう響きが、なんか、すごい。
当時の踊り子さんの稼ぎは、下っ端で1日300~500円。
トップスターになるとキャバレーの内職なんかもできるから
日給3万円以上とっていたらしい。
「人気が出ると、楽屋の入り口でプレゼント渡されたりするの」。
ふーん、そういう世界なんだ。
きっとファンにもらった差し入れを、惚れた男に気前よくあげちゃうんだろうなぁ…。