パリのすてきなおじさん
パリでおじさんを集めた。貫禄のあるお腹、眉間に刻まれた渋いシワ、ほがらかな眼差しの向こう側に、ニュースで見聞きしたことや、むかし世界史の授業で習ったできごとがチラッと見えた。世界は混沌としている。そして人生は味わい深い。
飯間浩明さん(「三省堂国語辞典」編纂委員)
昆虫採集のよう–−と言ったら取材対象に失礼だろうか、金井さんによる「パリのおじさん採集」。集められたおじさんの実例を眺めていくと、パリそのものが分かり、フランスの現状がどうなっているのかも臨場感を持って伝わってくる。
星野智幸さん
(小説家、『俺俺』『呪文』『のこった』)
ヘビーな経験も軽やかな生き方も、金井さんの筆にかかると、等しく豊かな人生として描かれる。誰の人生でも価値は同じなんだな、という真実を実感させてくれる吟遊の書。
安田浩一さん
(ジャーナリスト、『ネットと愛国』『ルポ 差別と貧困の外国人労働者)
「すてきなおじさん」の話を通して、パリの様々な風景が浮かび上がってきます。街の豊かな表情が見えてきます。弾んだ声が聞こえてきます。せつない息遣いも響きます。おじさんたちの知恵と信念と生きざまが、パリに色彩を与えています。金井真紀さんの味わい深い文章とスケッチで、読者はきっと、これまで知らなかったパリを「発見」することができるはずです。
伊藤詩織さん
(ジャーナリスト 『Black Box』)
登場するおじさんの多くは地位や人種とは関係なく、それぞれの人生、自分自身を受け入れています。そして他人と違うことを恐れていません。日本も男女問わずそういう人が増えればいいなと思います。
uzumakido | 2018.03.04 19:21
辻村修一さま
辻村さんが書いてくださったコメントこそ、何度も何度も読み返しています。キラキラする表現だなんて、うれしいなぁ。わたしもおばさんとして日々を生きておりますが、キラキラを忘れずに参る所存です!どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
金井真紀
稲垣 匠 | 2018.09.01 6:23
金井さん、こんにちは。50代の京都のおじさんです。先週の日曜日の夕方に大好きな書店の「恵文社一乗寺店」で本書を発見しました。装丁が美しく一目で気に入りました。金井さんの味わいのあるおじさんたちの描写に自分のことを重ねていろいろと考えさせられました。ぜひ、フランスへ行ってリアルおじさんに会ってみたいと思います。あと、京都のガイドブックでは「おじさんの京都」がおすすめですよ。
uzumakido | 2018.09.06 14:37
稲垣匠さま
こんにちは。うれしいコメントをありがとうございます。恵文社一乗寺店!あのすてきな本屋さんのお近くなんですね。うらやましいです。あぁ、京都には大好きな居酒屋さんが何軒かあるのに、ずいぶんご無沙汰しています…。「おじさんの京都」という本は知りませんでした。探してみます!
登地敬 | 2022.08.20 7:20
面白かった!
「傑作の予感」とあとがきにありましたが、まさに傑作、快作。
ターケルが愛読書だと、これは別の著作にありましたが、
ターケルが好きなヒトはこれも絶対好きでしょう。
人に歴史あり、ですね。
辻村修一 | 2018.01.30 10:41
1人のおじさんには、生まれるまでの歴史(民族史)があり、生まれてからおじさんになるまでの歴史(個人史)がある。そして、今を生きることで関係性(コミュニティ)を編み、つぎの歴史を創っていく。-金井さんはそのことをキラキラする表現で分かり易く読者に伝えてくれます。
色んな背景を捨象し、メタレヴェルの擬制=共和国・国民として在る覚悟が、産業革命から個人になったアングロサクソンの田舎くさい個人主義ではない大陸のおしゃれな個人主義を支えているのでしょうか?
そんな「問い」へ、広岡氏のコラムが導いてくれました。
何度も何度も読み返す予感。
おじさん後期にこんな名著に出会えて幸せです。