寄席文字書家

2013-02-08

寄席のめくりや歌舞伎役者の千社札を書く一門の師匠。
シャイな江戸っ子らしく、初対面ではあまり笑わない。

「ハネやハライの先っぽは、
三つか五つに分かれるって決まってんの。
奇数は吉数ってね」
このぶっきらぼうな感じが江戸弁なのかなぁと
話の内容よりも口吻に気を取られてしまう。

「字ぃ書くとき、十を目指しちゃだめ。
九で寸止めすんの。
粋になりすぎると、野暮になんだよ」
と言ったあと、
「んなこと言われても、わかんないよなぁ?」
やっと笑った。

そこで
「わかります」
って答えるのが粋なのか野暮なのかわからず
こちらも曖昧な笑顔で、次の言葉を待つ。
若葉の昼下がり。

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