古書店主
2013-02-22
古書店には濃い空気が漂っている。
ダダイストの本。
ロシアアバンギャルドのポスター集。
満州鉄道の絵はがき。
戦前のマッチのラベル。
すべて、あるじのセンスで選ばれた品々だ。
だが、あるじは自分の仕事をこう説明するのだった。
「私の仕事は、ものの延命措置です。
ゴミになるか商品になるかギリギリの中古品を
拾ってきて、誰かに売る。
買ってもらえれば、とりあえず延命できる……」
なるほど、この濃い空気は。
いずれ死ぬ運命であることを
よくよく理解したもの達が発しているのか。