丹頂鶴の飼育員
2013-01-10
ツル語が話せるようになったのは偶然ではない。
「あーーー!」
「あいっ!」
「あうううう!」
とアイウエオ順に音を組み合わせて、話しかけていった。
空に向かって。
出せる限りの大声で。
「それしかねえべさ、ツルに聞くしか手はねえべ」
気の遠くなる言語探求の道。
ほとんどの人間語は無視された。
でも、たまにツルが反応する言葉があった。
それを繰り返して、徐々に会話になっていったのだという。
ヨーウ(俺だよ)
クロック(好きだよ)
イェイイェイ(また明日な)
……
「ずっと上を向いて叫んでっから、
ジャンパーの胸んとこが唾で汚れんだ」
胸のあたりに目をやると、あわてて
「あ、むかし着てたやつな。
このジャンパーは新しいからきれいだべ」
uzumakido | 2013.01.12 8:38
自覚しておりませんでしたが
わたしは「達人あわてさせ屋」か^^
Comment
nitadori | 2013.01.11 12:24
む、また話し手をあわてさせてるな…