ロッククライマー
2013-03-05
プロのクライマーになりたい。
すなわち企業のスポンサー契約をとりつけたい。
と夢見ながら、ずっとアルバイトを続けていた。
いつかプロになって辞めるつもりのバイトを。
「あるとき、リュックの容量は決まってる、と思ったんです」
「リュック…?」
何かを捨てないと、新しいものは入らない。
本当にプロになりたいなら、
はじめにバイトを辞めてみよう、と決断したのだ。
「お金がなくなることより、洗濯機の中にいるほうが怖かった」
「洗濯機…?」
ぐるぐると同じところを回り続けることへの恐怖。
そこから逃れるためにジャンプし…夢を叶えてプロに。
夢を叶えた人の多くが、退路を断った経験をもつ。
退路を断った人のどれほどが、夢を叶えたのかは知らない。
リュックと洗濯機…
うまいのか下手なのかわからない喩えふたつ、胸に残る。