マジシャン

2013-03-07
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青年は微笑を絶やさず、うやうやしい手つきで
トランプや紙やナイフを操る。
「さてお客様、恐れ入りますが
一枚、引いていただけますでしょうか」
気取った口ぶり、さすがは
お金持ちが集まる会員制クラブの専属マジシャンだ。
一対一で披露される優雅なテーブルマジックに、
お姫様気分で酔いしれる。

だがワザの披露が終わると、そこで魔法はとけて
ふたりはバーガーショップでジンジャーエールをすすっている。
「ねぇねぇ、どうして手品師になったの?」
「高校のとき、彼女にフラれたんです。
泣きながら『ボクのどこがダメなの?』って聞いたら
『おもしろくないから』って、ひとこと。
それでおもしろい男になってやろうって」
真面目なんだなぁ、青年は。

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