スーツアクター

2013-02-11
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のっしのっしと歩き回って家を踏みつぶし
のたうつ尻尾でビルや橋げたをなぎ倒す。
狼藉の限りを尽くす怪獣はしかし、
「ハイ、休憩」
と声がかかると、とたんに別の人格(獣格?)になる。
腕をだらりと下ろし、ややうつむき加減に、
意外なほどセカセカと早足で戻ってくるのだった。

怪獣のスーツのなかから出てきた役者は
黙って汗をぬぐい、煙草に火をつける。
仕事を丁寧にこなし、納得している顔。
もみあげには白いものが混じっている。

怪獣役に求められるものはなんですか?
と聞くと、しばしの沈黙ののち
「大きな芝居だね」
身長は50メートルだったり80メートルだったり
役によって設定が異なるが、とにかく堂々と動く。

その人が終始寡黙だったのは、
もともとの性分なのか、
それとも役作りをしていたせいか。

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